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金融・生損保系VCキーパーソンが大集結!Pre シリーズA・シリーズA資金調達マッチング Meetup|INTLOOP Ventures(2025年11月)

開催日
2025.11.20
開催場所
INTLOOP本社内 Cafe INTLOOP

2025年11月20日、INTLOOP株式会社が運営するスタートアップ支援プログラム「INTLOOP Ventures」は、金融・生損保グループ傘下の主要VCが一堂に会するマッチングイベント「金融・生損保系VCキーパーソン大集結!Pre シリーズA・シリーズA資金調達マッチング Meetup」を開催しました。

本イベントには、金融・保険領域に精通したVCのキーパーソン(意思決定者・経験豊富なキャピタリスト)が登壇し、スタートアップに提供可能な支援の幅や価値について、リバースピッチとパネルディスカッションを通じて語られました。

リバースピッチでは各VCの投資テーマや支援スタンスが紹介され、パネルディスカッションでは「金融・生損保系VCが求めるスタートアップ」をテーマに、投資判断のポイントや協業のリアルについて深掘り。イベント後半には、VCテーブル回遊とネットワーキングの時間が設けられ、参加者同士が実際の協業・資金調達につながる接点を築く貴重な機会となりました。

この記事では、当日の様子を写真とともにレポートします。金融・保険領域との連携を視野に入れたスタートアップや、次の成長フェーズに向けてVCとの接点をつくりたい起業家にとって、有益なヒントが得られる内容です。

※本イベントは会場のキャパシティを考慮し、半年以内にPreシリーズA・シリーズA調達を検討しているスタートアップ様を対象としたうえで、事前審査制にて実施しました。

INTLOOP Ventures マッチングイベントレポート
金融・生損保系VCキーパーソンが大集結!Pre シリーズA・シリーズA資金調達マッチング Meetup

【実施日時】
2025年11月20日(木)18:00〜20:30

【タイムテーブル】
17:30〜18:00  受付
18:00〜18:10  オープニング/INTLOOP Ventures紹介
18:10〜18:40  VCリバースピッチ
18:40〜19:10  パネルディスカッション「金融・生損保系VCが求めるスタートアップとは? 投資・共創のリアルを語る」
19:10〜19:50  VCテーブル回遊&名刺交換
19:50~20:30  全体ネットワーキング

【実施場所】
INTLOOP本社内 Cafe INTLOOP
〒107-0052
東京都港区赤坂2丁目4−6 赤坂グリーンクロス27F Cafe INTLOOP

オープニング

イベント冒頭では短いPRムービー上映の後、INTLOOP株式会社の廣瀬より、同社の現状とコミュニティ運営の背景について紹介が行われました。

INTLOOPは創業20周年を迎え、全国に拠点を展開しながら事業規模を拡大してきました。連結売上高は335億円、グループ全体の社員数は1,400名弱に到達。直近10期では年平均成長率(CAGR)47.2%という高水準の成長を維持しており、グロース市場上場企業として大きく存在感を高めています。

同社のビジネスモデルの中核を担うのが、約1,200名の正社員(コンサルタント・エンジニア・PMO)と、約5万2,000名のフリーランス人材による大規模ネットワーク。案件に応じて1名からチームまで柔軟に編成し、企業の経営課題やDX推進に寄り添う形で支援している点が特徴です。

こうした人材基盤を背景に誕生したのが、スタートアップ支援コミュニティ「IVIC(INTLOOP Ventures Innovation Community)」です。VCや事業会社とも連携しつつ、スタートアップの成長に欠かせない「ヒト・モノ・カネ・情報」を総合的に提供する場として運営されており、本年4月の立ち上げ以降、累計参加者は200名以上に。現在は、スタートアップ130~140社に加えて、投資家や支援プレイヤーも幅広く参画しています。

IVICでは、スタートアップ向けの勉強会やVCとのマッチングイベントを月1〜2回のペースで継続的に開催。過去のイベントレポートも随時公開し、コミュニティ外の方にも知見や学びを届ける取り組みを進めています。

今回のマッチングイベントは、9月から続くVCシリーズの第三弾として開催されたものです。廣瀬からは、イベント後に率直なフィードバックを寄せてもらい、今後の企画改善につなげたいという想いも共有されました。

<過去のイベント例>
4月:AIスタートアップ ピッチ・VC壁打ち相談会
5月:グロース加速に向けたストックオプション戦略とは?
7月:IPOのリアルと上場後の経営戦略
8月:スタートアップM&Aの最前線を学ぶ
9月:トップティアVCキーパーソンが大集結!Pre シリーズA・シリーズA資金調達マッチング Meetup
10月:事業会社系VCキーパーソンが大集結!Pre シリーズA・シリーズA資金調達マッチング Meetup

「INTLOOP Ventures」とは

INTLOOP Venturesは、スタートアップとの共創を通じて社会・産業課題の解決を目指す、INTLOOPのスタートアップ支援プログラムです。INTLOOPが20年以上にわたりコンサルティングとプロフェッショナル人材支援を通じて培ってきた、人材ネットワーク・企業ネットワーク・知見を活かし、先端技術を有するスタートアップと連携し、2030年に向けて懸念される労働人口の減少や生産性の低下といった構造的な社会課題の解決に挑んでいます。協業型アクセラレータープログラム「INTLOOP Ventures Accelerator(IVA)」や、事業共創を支援する「INTLOOP Ventures Innovation Community(IVIC)」を通じて、資金・リソース・ネットワークの提供により、実効性あるイノベーション創出を後押ししていきます。

リバースピッチ

続いて実施されたのは、金融・生損保系VCの6社によるリバースピッチ。
1社あたり約5分という持ち時間の中で、各ファンドの投資方針や支援スタンス、重点領域、出資ステージなどが順に紹介されました。

金融・保険領域に特化した知見や、グループ会社との協業可能性を生かした支援メニューなど、各社が持つ独自の強みが明確に示された本セッション。スタートアップが金融・生損保系VCと連携することで得られる価値を具体的にイメージできる内容となりました。

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【参加VC】
・SMBCベンチャーキャピタル
松下 克俊 氏
https://www.smbc-vc.co.jp/

・ニッセイ・キャピタル
伊藤 紀行 氏
https://www.nissay-cap.co.jp/

・みずほキャピタル
眞鍋 裕亮 氏
https://www.mizuho-vc.co.jp/

・三井住友海上キャピタル
島﨑 卓也 氏
https://www.msivc.co.jp/

・三菱UFJキャピタル
西尾 祐一 氏
https://www.mucap.co.jp/

・東京海上ホールディングス
吉崎 裕哉 氏
https://www.tokiomarinehd.com/

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各VCのピッチ内容を簡単にご紹介します。

SMBCベンチャーキャピタル(松下 克俊 氏)
最初に登壇したのはSMBCベンチャーキャピタルの松下氏。「絆」を投資理念に、東京・大阪を基点に幅広いスタートアップを支援しています。

同社のファンドは業種・ステージを限定せず、銀行グループのネットワークを活用した事業支援を強みとしています。営業マッチングや追加投資体制も整っており、投資後の伴走支援に力を入れている点が特徴です。

さらに、ESGや社会課題解決を意識した投資への取り組みや上場支援の実績も紹介され、成長フェーズ全体をカバーできるVCとして位置付けられました。

ニッセイ・キャピタル(伊藤 紀行 氏)
続いて登壇したニッセイ・キャピタルの伊藤氏は、同社が東京・大阪で長年スタートアップ投資を行ってきた実績を紹介。

対象ステージはシードからEXITまでと幅広いものの、特にアーリー以降を中心に出資を行うスタイルです。早期段階の相談も歓迎していると語られました。

日本生命をLPに持つファンド構造は大きな強みで、長期視点での継続支援や複数ファンドにまたがる投資が可能。投資領域もディープテックやサステナビリティへ広がり、幅広い上場実績を重ねている点が紹介されました。

みずほキャピタル(眞鍋 裕亮 氏)
みずほキャピタルの眞鍋氏からは、同社が日本のスタートアップ市場が本格化する以前から投資に取り組んできた老舗VCであることが共有されました。

事業体制は国内投資が中心で、一部海外案件にも対応。複数の投資ファンドを運用し、継続的にスタートアップを支援できる体制を構築しています。

また、エクイティ投資を軸にしながら、みずほフィナンシャルグループとの連携を通じて、成長フェーズに応じた多様な資金調達や事業支援を提供できる点も特徴です。銀行グループの広いネットワークを活かした営業支援や追加投資の柔軟性も強みで、ポートフォリオは業種・ステージを問わず幅広い構成となっています。

三井住友海上キャピタル(島﨑 卓也 氏)
三井住友海上キャピタルの島﨑氏は、同社が保険事業とは切り離した純投資を基本方針とする点を強調しました。複数ファンドを継続的に組成し、アーリーステージを中心に幅広い領域への投資を実施。追加投資を積極的に行う育成型のアプローチや、小規模投資から迅速に着手できる意思決定プロセスが特徴として紹介されました。

投投資後は、担当者ごとのスタイルに応じて事業面での助言や支援を行い、案件によってはリード投資を担うなど、スタートアップの成長段階に寄り添った関与を実施。

最後に島﨑氏自身のキャリアとして、事業会社での営業・投資経験を経て現職に就いた背景が紹介され、特にアーリーステージでの事業づくりを共に進めることを強みとしている点が強調されました。

三菱UFJキャピタル(西尾 祐一 氏)
続いて登壇した三菱UFJキャピタルの西尾氏からは、同社が金融グループの強みを背景に、キャピタリスト個々の情熱を重視する文化で投資に取り組んでいる点が語られました。

西尾氏自身の長い銀行キャリアを通じたスタートアップ支援の経験から、グループ内で支援機能が集約され、部門横断で投資先をサポートできる体制の強化が紹介されました。

運用ファンドは複数あり、西尾氏は主にディープテックを担当しつつ、IT領域など幅広いジャンルでの投資にも取り組んでいると述べられました。

東京海上ホールディングス(吉崎 裕哉 氏)
最後に登壇した東京海上ホールディングスの吉崎氏は、保険事業の枠を超えて、防災・モビリティ・ヘルスケア・脱炭素など多様な領域に広がるソリューション事業への取り組みを紹介しました。

CVCとしてはこうした重点領域を中心に、中長期的な事業共創を見据えたストラテジック投資を実施。アーリー〜ミドルステージを対象に、シナジー創出を前提としたパートナー探索を進めている点が特徴です。

人的資本領域に関連するサービスとの連携や、モビリティ分野における安全対策・保険連携などの取り組みが事例として紹介され、長期的な視点でパートナー企業とともに事業を成長させていく姿勢が語られました。

パネルディスカッション「金融・生損保系VCが求めるスタートアップとは? 投資・共創のリアルを語る」

続いては、金融・生損保系VCのキーパーソンによるパネルディスカッション。

「金融・生損保系VCが求めるスタートアップとは? 投資・共創のリアルを語る」をテーマに、実務に根ざした視点から多様な意見が展開。金融・保険グループならではの巨大な顧客基盤や事業部との協業可能性、社会課題領域との親和性といった、金融・生損保系VC特有の着眼点が共有されました。

冒頭テーマ:
本編テーマに入る前に、登壇VC全員に「事業シナジーとキャピタルゲインを、投資判断の中でどの程度の割合で考えているか」という共通質問が投げかけられました。
各社の回答は以下の通りです。

■SMBCベンチャーキャピタル(松下氏)
純投資が中心で、全体としては「純投資が約7割、事業連携が3割」というイメージ。

■三菱UFJキャピタル(西尾氏)
MUFGグループとの連携も重視するため、「純投資と事業シナジーはおおむね半々」。

■みずほキャピタル(眞鍋氏)
基本はキャピタルゲインを重視するスタンスで、「純投資が8割以上」という感覚。

■ニッセイ・キャピタル(伊藤氏)
純投資ファンドと戦略投資ファンドを併用しており、「全体では純投資が7〜8割、戦略投資が2〜3割」。

■三井住友海上キャピタル(島﨑氏)
担当ファンドは「100%純投資」。事業連携を目的にした別ファンドはあるものの、基本は純投資が中心。

■東京海上ホールディングス(吉崎氏)
「100%戦略投資」を掲げつつ、キャピタルゲインも重視。リターンを前提にしながら事業シナジーを追求するというスタンス。

以下が、パネルディスカッション本編です。

①金融・生損保系VCの投資判断―どんなスタートアップを求めているか
―― SMBCベンチャーキャピタルの松下さんに伺います。オールステージで年間かなりの件数を投資されている印象ですが、判断が早いケース・時間がかかるケースの違いは、どのあたりにありますか?

松下氏:
一言で言うのは難しいのですが、最も影響が大きいのはコミュニケーションです。お互いに意思疎通がスムーズにできるか、事業内容が明確に伝わるか。このあたりが整っていると、検討は早く進みやすいと思います。

どれだけ良い事業でも、説明の仕方が不十分だと伝わりきらないこともあります。自分たちのビジネスをどう言語化し、人に届けるか。そのスキルがあると、投資判断は前に進みやすくなりますね。

―― ニッセイ・キャピタルの伊藤さんに伺います。数字がまだ揃っていないシード期のスタートアップを評価する際、どこを重視されますか?

伊藤氏:
ステージによって見るポイントが変わります。アーリーならトラクションやPMFの度合いなどを重視しますが、シード期ではそこを求めても誰も満たせません。

そのため、まずは「狙う市場の魅力」と「起業家・チームの背景」が重要。そしてもうひとつ大事なのが「成長ストーリーの描き方」です。

社内ではよく「どう山を登るのか」という言い方をしますが、半分妄想でも構いません。今の立ち位置からどう積み上げるのか、その仮説が見えると、シードでも投資検討がしやすくなります。

②事業連携を生み出せた成功事例とは?

―― 東京海上ホールディングスの吉崎さんに伺います。損保系VCには、巨大な顧客基盤や保険との連携を期待する声も多いと思います。これは特に綺麗にハマった、あるいは大きな成果につながったと感じる取り組みはありますか?

吉崎氏:
いろいろなタイプの連携がありますが、わかりやすい例としては「お互いのお客様に、お互いのプロダクトを届ける」という取り組みです。時間をかけて関係をつくりながら、両社にとって価値のある形に育っていったもので、とても綺麗な連携だったと思います。

もうひとつ印象的なのは、保険業務そのものをコード化していく取り組みです。ICEYE(アイサイ)という海外のスタートアップに投資し、水害時の浸水状況を航空写真などのデータから推定し、保険金の支払い判断に活用するというものなのですが、従来は現地へ足を運んで確認していた作業が、デジタルで一気に効率化される。こうした「保険実務のアップデート」につながる連携も、とても美しい事例だと感じています。

―― 三井住友海上キャピタルの島﨑さんに伺います。どのような事業連携の成功事例がありますか?

島﨑氏:
私たちは基本的に純投資が中心なので、明確に事業シナジーを前提とした投資は多くありません。一方で、ストラテジックファンドのほうでは、保険会社らしい強みが活きた事例もあります。

ただし、正直に申し上げると、スタートアップ側が「保険会社となら何でもできる」と期待しすぎるのはあまり健全ではないと思っています。まずは自走し、そこにプラスアルファとして連携が乗るほうがヘルシーです。

そのうえで強くハマったケースとしては、脱炭素領域のスタートアップと取り組んだプロジェクトがあります。保険会社は全国47都道府県に拠点があり、自治体と密に連携しているネットワークを持っています。カーボンクレジットを創出するようなビジネスに対して、この「全国×自治体」のネットワークがうまく噛み合い、地域の案件発掘から一緒に事業を進めたことで、大きなシナジーが生まれました。

本社側も人を投入し、かなり本気で取り組んだケースですが、こうした「ピタッとはまった時の爆発力」は保険会社グループならではの特徴だと思います。

―― 続いてニッセイ・キャピタルの事例について、本日伊藤さんと共に参加いただいた山本さんに伺えたらと思います。資料では MICIN社やサリバテック社との連携が紹介されていましたが、これは「投資後に連携が生まれた」のか、それとも「連携を前提に投資した」のか、背景も含めて教えていただけますか?

山本氏:
これらは日本生命本体との協業を前提にした出資です。日本生命では、いわゆる保険の周辺領域――私たちは「安心の多面体」という言い方をしますが、特にヘルスケア領域で新しい取り組みを強化しており、技術力や事業連携の可能性を見込めるスタートアップと組んでいきたいという方針があります。

そのため、投資の前の段階から連携の方向性をしっかり議論し、お互いにどう協力できるかをすり合わせたうえで出資しています。つまり、連携できる確度があるから投資するという流れですね。

―― 三菱UFJキャピタルの西尾さんに伺います。大手企業とのビジネスマッチングにも強みをお持ちだと思いますが、担当キャピタリストの方に本気で動いてもらえるポイントや、連携を引き出すためのPRの仕方を教えていただけますか?

西尾氏:
当社は、JAFCOさんのような独立系とは特徴が異なり、MFG(MUFGグループ)の取引基盤を活かしたバリューアップが大きな強みだと考えています。これは社内でもよく議論されていて、私たちが勝てる部分はどこかというと、まさにこの幅広いネットワークなんです。

キャピタリスト自身も、投資先に対して覚悟を持って向き合うことを大事にしています。私は部下にも「その会社の社長と心中する覚悟で投資できるか」と伝えていますが、投資時点で本気で支援する前提があるので、紹介依頼は遠慮なく出してもらって構いません。

実務の面では、バリューアップ担当のメンバーが大企業や銀行支店を日々回り、ニーズをヒアリングしながら投資先につなげています。スタートアップ側から「こういう企業に会いたい」というリストをもらえれば、直接アプローチすることも多いです。
実は細かな事例はたくさんあって、MUFGグループそのものがクライアントになるケースもあります。

―― SMBCベンチャーキャピタルの松下さんにも伺います。営業・ビジネスマッチングを日常的に行っている立場から、うまくいく企業に共通するポイントは?

松下氏:
テクニカルな観点でいうと、「伝え方」が非常に重要です。営業マッチングがうまく進む企業は、売り先に対して自社プロダクトのメリットを相手の立場でしっかり説明できています。

逆に、プロダクトの機能だけを語ってしまうと刺さりづらく、商談が前に進みにくいことが多いですね。相手が得られる価値をどう言語化できるか。これは投資判断の場面と同じく、とても重要なポイントです。

もうひとつは、売り先の企業について徹底的に理解しにいく姿勢です。上場企業であればIR資料など公開情報が豊富にありますし、それを読み込んで「どの課題に刺さるのか」まで整理して提案すると、商談の確度はかなり上がると思います。

―― 最後に、みずほキャピタルの眞鍋さんも、ぜひお考えをいただけますか。

眞鍋氏:
松下さんのご説明に「膝を打ちすぎた」くらい共感していますが、営業マッチングで成果が出る会社は、まず大企業側を深く理解していることが特徴です。

IR資料や事業戦略を読み込み、「この会社ならここにハマるはず」という仮説を持って話に来られる。さらに一歩進んで、組織図を見たうえで「この部署の、誰々常務の下にいる担当者に会いたい」といったレベルで具体的に指定されると、こちらもどうやってその方につなごうかと動き方が明確になるんです。

また、紹介依頼をする際も、「みずほキャピタルさん」ではなく、「みずほキャピタルの〇〇さんに会いたい」と言われると、「ご指名いただいたなら」と、担当者自身のスイッチが入りやすい。相手に「一歩前に出よう」と思わせられるかどうか、これは意外と大事なテクニックだと思います。

③今関心が高い、スタートアップとの共創テーマ
―― 最後のトピックスとして、社内で「この領域の案件がほしい」といった注目テーマがあれば教えてください。

吉崎氏:
手を挙げながら「どれを言おうかな」と思うくらいあるのですが…すぐに挙がるのは モビリティと物流の領域ですね。私自身もさらに深掘りしていきたいテーマです。

また、防災・減災も非常に重要な領域として見ています。事業開発を一緒に進められるパートナーを探しており、ソリューション提供の観点でも、スタートアップと連携できる余地が大きいと感じています。

山本氏:
大きく2つの方向性があります。

1つ目は、日本生命の既存事業(資産運用事業)と接続できる領域です。大企業向けに企業年金や福利厚生ソリューションを提案する部門があり、そこでは人的資本経営 に関連したテーマ、たとえば、従業員の介護・ヘルスケア教育など、BtoB向けに提供できるサービスとの相性が良いと考えています。

2つ目は 新規事業領域 としての周辺分野。特にヘルスケア、介護領域の業務効率化、さらに保育領域など、生活者の安心につながるテーマはグループとしても重視しています。事業シナジーを描きやすく、連携の余地が大きい領域です。

パネルの最後には、参加者から寄せられた質問に登壇VCが回答するQ&Aセッションを実施。「Slido」経由で多くの質問が寄せられ、その中でも関心の高かったテーマについてVC各社にコメントいただきました。

以下では、その一部を抜粋してご紹介します。

Q.リード投資は行いますか?

松下氏:
リード投資は実施しているが、特に新規案件では慎重。初回出資後に関係性を築いたうえでリードに入るケースが多い。

西尾氏:
ライフサイエンス系ファンドではリードを取る場合がある。一方、ジェネラルファンドでは担当領域の広さから、準リードとしてサポートに回ることが中心。

眞鍋氏:
リードは可能だが、実際に取る件数はごく一部。上場後も長期的に取引が続くことを重視しているため、リードにこだわらないスタンス。

伊藤氏:
リード投資には積極的。初回は少額でも、次の大型調達でしっかりコミットするなど、資金面の継続支援が可能。

島﨑氏:
リード投資は全担当者が経験しており実行可能。案件との相性に応じてリード・フォロワーを柔軟に使い分ける。

吉崎氏:
リード事例はあるものの、基本方針は「原則リードしない」。事業連携による売上貢献を重視するスタンス。

Q. 東証の上場維持基準の変更に伴い、スタートアップのEXITも多様化してくると思われます。実際に投資方針は変わりましたか?また、社内で議論されていることはありますか?

眞鍋氏:
正直に申し上げると、あります。私たちはオールステージ・オールジャンルで投資しており、ユニコーンだけでなく、リアルビジネスやテック、エンタメ、不動産・飲食といった幅広い企業を支援してきました。

ただ、上場時のバリュエーションが上がっているのは事実で、100〜200億規模をゴールとする案件ではリターンが出にくくなり、以前より投資しづらくなっている印象はあります。

とはいえ、銀行系VCとしての使命は、特定領域だけでなく「あらゆる産業・フェーズ」に資金供給すること。そこは変わりません。40年以上この業界を見てきて、市場の波が開閉するのは何度も経験しています。今の環境も踏まえつつ、状況に応じて柔軟に判断していく。それが我々のスタンスですね。

Q.投資判断で最も重視するポイントは?

松下氏:
これは担当者によって見方が変わりますが、あえて一つ挙げるなら、私は「パッション」だと思っています。2007年からVC投資に携わってIPOの現場にも長くいましたが、最終的に会社を動かし、事業をここまで引っ張るのは経営者の力なんですよね。その根っこにあるのが情熱。

起業への思い、事業への信念。それがないと長続きしない場面を何度も見てきました。もちろん人によって着眼点は違いますが、情熱がどれだけあるかは、キャピタリストみんな強く見ている部分じゃないかと思います。

伊藤氏:
上場基準の話も踏まえると、ニッセイの場合は投資期間が非常に長いため、「100億の基準変更で投資方針が大きく変わった」ということは特にありません。

私自身、前職では独立系VCにおり、3年で2〜3倍を狙うようなIRR重視の投資が中心でしたが、ニッセイはもっと長期の視点で考えています。その分「実現したときにどれだけ大きなインパクトを生むか」をより重視するようになりました。

経済的にも社会的にも広がりのあるアイデア、スケールするビジョン。そうした大きな構想に魅力を感じますし、個人的にも強く応援したいと思いますね。

VCテーブル回遊&名刺交換

パネルディスカッションの後は、登壇VCとの距離を縮められる「VCテーブル回遊」の時間へと移りました。
会場内には各VCの専用テーブルが設けられ、参加者はアナウンスに合わせて関心のあるブースを巡りながら、名刺交換や個別の質問を行える形式です。

短い持ち時間の中で効率よく複数のVCと話せるよう、会場では定期的に案内が入り、スタートアップ側も思い思いのテーブルへ積極的に訪問。投資方針の確認や事業連携の可能性など、各所で具体的なやり取りが展開され、熱気に満ちた交流の場となりました。

また、INTLOOPのサポートメンバーによる相談テーブルも併設。スタートアップの実務的な課題や今後の支援メニューに関する相談が行える場として賑わいを見せました。

全体ネットワーキング

イベントの最後は、参加者同士が自由に交流できるネットワーキング。立食形式で軽食やドリンクが並び、各テーブルにはケータリングが用意されるなど、肩の力を抜いて語り合える雰囲気が広がりました。

会場のあちこちで、登壇VCに追加の質問をする参加者や、同年代・同業種の起業家同士が互いのアイデアや課題感を共有する姿が見られ、自然と輪が広がっていきます。
リラックスした空気の中にも、次の協業の芽や新しいネットワークが生まれる場面が多く見られ、イベントの締めくくりにふさわしい充実した交流タイムとなりました。

【当日のご提供メニュー】
■ハーフサンド(ツナサラダ)
しっとりツナサラダををふわふわパンで包んだ、食べやすいミニサンド
■アボカドとクリームチーズのブルスケッタ
濃厚アボカドとまろやかなクリームチーズをのせた、香ばしいブルスケッタ
■カプレーゼ
トマトとモッツァレラをひと口サイズにまとめ、バジルとオリーブオイルで爽やかに仕上げた一品
■鶏モモ肉のバロティーヌ
鶏モモ肉で具材を巻き込み、しっとり仕上げたバロティーヌ

* * *
今回のマッチングイベントでは、金融・生損保系VCのキーパーソンと、次の成長フェーズを目指すスタートアップが一堂に集結。各社のリバースピッチやパネルディスカッションでは、金融・保険領域ならではの投資視点や、事業連携を生み出すためのリアルなプロセスが共有され、参加者からも高い関心が寄せられました。

後半のテーブル回遊やネットワーキングでは、登壇VCとの個別相談や、スタートアップ同士の情報交換が活発に行われ、新たな協業や資金調達のきっかけにつながる場となりました。

INTLOOP Venturesでは、今後も多様なプレイヤーが交わり、挑戦を後押しするコミュニティづくりを継続していきます。
今後のイベントもどうぞご期待ください。

イベントの概要

開催日時
2025.11.20 ~ 2025.11.20
18:00~20:30
開催場所
INTLOOP本社内 Cafe INTLOOP
〒107-0052
東京都港区赤坂2丁目4−6 赤坂グリーンクロス 27F
会場 のウェブサイトを表示する

銀座線・南北線「溜池山王」駅10番出口直結
料金
無料
お問い合わせ先
INTLOOP Ventures